選挙のたびに話題になる投票用紙の「書き味」ですが、投票用紙の紙質によるところが大きいです。
では投票用紙はどんな紙を使用しているのでしょうか?
紙とは
まず、ユポ紙の話をする前に前提となる紙の定義について解説します。
紙は日本工業規格 (JIS) によって
「植物繊維その他の繊維を膠着させて製造したもの」
と定義されています。
原料は木などの植物なんですね。
ユポ紙
投票用紙には、ユポ紙という紙が使われています。
では名前に「紙」とあるユポ紙は紙なのか、と言われると
厳密に言うと、ユポ紙は紙ではありません。
なぜなら、植物繊維を原料としていないからです。
では何を原料にしているのか、と言うとポリプロピレンを主原料としています。
ユポ紙とは、株式会社ユポ・コーポレーションの持つ登録商標であり、
同社製合成紙の商品名になります。
森林資源の保全を目的に開発されているため、原料に木材パルプは使用していないのです。
どんな特徴があるの?
では書き味以外にはどんな特徴があるのでしょうか?
もちろん使っていて一番実感できるのは間違いなく「書きやすさ」です。
それ以外にも、原料がポリプロピレンなので耐水性に優れていて、少し濡れた程度では強度の低下などがほとんどありません。
実際外で汗を書く仕事をしている人等は、汗で濡れて破れてしまう可能性があるため、
メモ帳にユポ紙を使用している人もいます。
更に、引張弾性が強く、合成樹脂フィルムの様に若干伸びる特性があります。
厚みの種類も豊富で、50種類以上のバリエーションがあります。
もちろんそれぞれに印刷性や風合いも違うので、好みの厚さを選ぶのも楽しいかもしれません。
そして、投票用紙に使われている一番の理由ですが、折ってもすぐに開くということです。
普通の紙だと折ったら折れた状態でそのままですが、ユポ紙は時間経過とともに徐々に開いていくのです。
そのおかげで作業性がアップし、即日開票ができるんですね。
欠点
素晴らしい様に思えるユポ紙ですが、もちろん欠点もあります。
- 値段が高い
- 吸水性が無い
やはり紙よりも多少割高です。
ですが、メリットを考えると妥当かなと言える範囲ではあります。
そして、原料がフィルムの為、吸水性が無いのです。
どういうことかと言うと、水性ペンの筆記や捺印ができません。
水性ペンは書いても触れれば簡単に消えてしまいますし、捺印も同様です。
(水性ペンではそもそも書けない場合もある)
ちなみに、油性ペンも書いてすぐだと消えてしまうので、乾くまで(数秒ですが)待つ必要があります。
インクジェットプリンターでも印刷は可能ですが、インクの乾燥がしにくいので印刷時は気を付けないといけません。
ただし、最近ではそれらの対策を施された商品も出てきていますので、そういったものを使えば欠点はほとんどなくなります。
まとめ
- 植物繊維ではなくポリプロピレンが原料
- 折ってもすぐ開くので投票用紙に向いている
- 耐水性がある
- 水性ペンや捺印、印刷は要注意
工事現場や外回りの営業の方で、鉛筆(シャーペン)しか使わないという方であれば
とても良いものだと思います。
ぜひ一度使って見ることをおすすめします。